等身大で進めるISO、実はこれが最も効率的!
ISO認証を取得することは、組織にとって多くの利点をもたらし……
企業がISO規格への適合を目指す際、現場ではどのようなことが起こっているかをお伝えすることを目的として、本コラムでは、ISOに適合するための取り組みを、架空の会社であるA社のストーリー仕立てで説明します。
樹脂加工業界で中堅の位置にあるA社。長年の経験と技術力を持ちながら、最近は顧客からのクレームや納期遅延が増加し、業績も伸び悩んでいました。
時折開催する改善の打ち合わせでは、営業部門が顧客からの注文を受ける際に詳細な確認をせず、見積もりや納期を回答していたことが主な原因であることが分かってきました。製造部門との情報共有も不十分で、現場は突然の要求に対応せざるを得ない状況でした。
これは、ISO9001の箇条でいうところの、8.2「製品及びサービスに関する要求事項の確認」を満たしておらず、A社の品質管理上の大きな課題となっていました。
A社は、組織全体の品質マネジメントを見直し、ISO9001への適合を目指すことを決めました。特に、箇条8.2への対応が急務とされ、以下の具体的なアクションを実施しました。
これらの取り組みにより、A社には以下のような明確な成果が現れました。
A社は箇条8.2への対応だけでなく、他の箇条についても積極的に取り組みました。
この例からわかるように、ISOの各箇条は品質や顧客満足を維持・向上する上でのポイントが集まったものとなっています。従って、ISOを取得する取り組みを進めるなかで、漏れの無いマネジメントの仕組みが完成されることになります。
A社の事例は、一部の課題への取り組みが組織全体の品質向上につながることを示しています。ISO9001への適合は単なる認証取得ではなく、継続的な改善と組織の成長を促進するツールとして活用できます。