ISO9001と業務フロー図!読みやすさが成果を左右する鍵

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ISO9001の認証取得を目指す際、規格の要求事項には直接的には記載されていないものの、作業手順書や業務フロー図を作成するケースが多くあります。これらは規格の求める要件を組織内で効率的に共有し、スムーズに運用するための効果的なツールです。

特に、業務の流れを文章で説明する場合、読む人によって解釈が異なる可能性があり、理解に時間がかかることがあります。一方で、図を活用すれば、複雑な情報を視覚的に伝えやすくなり、作業者や関係者の負担を軽減することが可能です。その中でも、「スイムレーン図」という手法は、多くの組織で有効に活用されています。

スイムレーン図とは?

スイムレーン図は、業務プロセスを視覚化する際に「誰が何をするか」を明確にするための方法です。それぞれの担当者や部門が「レーン(泳ぐコース)」で区切られており、フローがどのように進むかを簡単に把握できます。たとえば、以下のような構成です:

  • 横方向または縦方向にレーンを作成
  • 各レーンに担当者や部門名を記載
  • プロセスを矢印で接続し、流れを表現

この形式なら、関係者の役割や責任範囲が一目で分かるため、業務の全体像を正確に共有できます。

スイムレーン図の例(横方向がレーンとなっている)

厳密性よりも読みやすさを優先

業務フロー図を作成する際に重要なのは、厳密な記述にこだわらないことです。それよりも、読みやすさと理解しやすさを重視することがポイントです。特にISO9001の目的は、業務を標準化し、品質を安定させることです。そのためには、実際に現場で活用され、関係者全員が迷うことなく実行できるような図が求められます。

特に、最近のISO規格では、書類偏重の傾向が改善されて、実質的に経営にプラスになることが重視されています。その意味でも、実質的に効果の得られるドキュメンテーションとすることは、規格の目指す方向と一致しているといえます。


図の活用で得られるメリット

  • プロセスの視覚化:業務の流れを見える化し、全体像を把握しやすくする。
  • コミュニケーションの向上:異なる部門間での理解を深め、効率的な連携を促進。
  • ミスの防止:責任範囲を明確化することで、作業の抜け漏れを防ぐ。

ISO9001における文書化は、「使えること」「理解されること」が最も重要です。業務フロー図を活用することで、関係者がよりスムーズに作業を進められる仕組みが実現できると思います。スイムレーン図のようなシンプルで効果的なツールを取り入れることが、品質マネジメントシステムを成功に導く鍵となります。

この記事を書いた人Wrote this article

森田 康之

森田 康之

ISO9001の審査員として活動中。中小企業診断士、ISO14001の審査員補の資格を保有。企業にフィットしたISOシステム「みのたけISO」を構築するため支援を提供する。

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