ROIで見るISO9001の必要性:本当に不要か?
ISO9001の認証取得を検討する際、「本当に必要なのか?」……
製造業において、不良品や顧客クレームは企業にとって頭の痛い問題です。
「ISO9001を導入すれば、こうした問題は解決できるのではないか」と考える管理者も多いでしょう。
しかし、ISO9001の役割や効果を正しく理解しないまま導入を進めても、期待した成果が得られないケースもあります。
ここでは、即効性のある改善手段とISO9001による仕組みづくりの違いを整理しながら、「ISOを導入する意味」を掘り下げてみたいと思います。
現場で発生している不良やクレームに対応するには、即効性のある改善策が役立ちます。
例えば、
これらは現場改善に有効であり、短期間で成果が出やすい方法です。
しかし、即効性のある改善だけに頼ると、次のようなデメリットもあります。
即効性対策のデメリット
ISO9001を導入すると、不良やクレームがすぐになくなるわけではありません。
なぜなら、ISO9001は「問題の直接解決」ではなく、「仕組みを通じて問題が起きにくい状態をつくる」ことを目的としているからです。
ISO9001には、次のような特徴があります。
こうした点が、単発的な改善と大きく異なるところです。
ISO9001は単なる品質管理のツールにとどまらず、経営そのものを改善する枠組みとして活用できます。
管理者にとって重要なポイントは次の通りです。
ISO9001を通じて得られる経営向上のポイント
「ISOを全部入れるのは大変だから、自社に必要な部分だけ取り入れたい」という考え方も現実的です。
品質マニュアルや手順書を作る際に、ISOの考え方を参考にして自社の仕組みに反映させるだけでも効果はあります。
一方、ISO9001認証を取得するメリットは、次の点にあります。
つまり、部分的に導入しても効果はありますが、認証取得まで進めると「品質を軸にした経営」の信頼性が一段と高まるのです。
ISO9001を導入したからといって、不良品やクレームがすぐに消えるわけではありません。
短期的な改善で成果を得ることも大切ですが、それだけでは再発防止や全社的な共有に限界があります。
ISO9001は、経営層が主体的に品質に取り組み、再発防止と継続改善を仕組みとして根付かせることに大きな価値があります。
品質という切り口で会社の経営を底上げしたい管理者にとって、ISO9001の概要を理解し活用することは非常に有効です。
「品質の改善」と「経営の強化」を両立させるフレームワークとして、ISO9001は完成された仕組みであるといえるでしょう。
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