ISO取得第一歩:始め方とギャップの見極め
ISO認証を取得しようと考えている企業の皆様、何から手を付け……
企業活動において、業務フローの作成は重要な役割を果たします。個々の社員がそれぞれのやり方で仕事を進めていると、効率にばらつきが生じることがあります。しかし、業務フローを整備することで、最も効率的で効果的な方法に統一することが可能となり、組織全体の生産性向上が期待できます。
人は往々にして、自分が慣れ親しんだ方法を好む傾向があります。そのため、全体の最適化よりも、自身のやりやすさを優先してしまうことが少なくありません。特に長年の経験がある場合、そのやり方に自信を持っていることが多く、変化への抵抗感が生じやすくなります。また、組織内でのコミュニケーション不足や情報の共有不足も、業務フロー統一の障壁となることがあります。
業務フローの見直しを進める過程では、意見の食い違いや優先順位の違いから、コンフリクト(対立)が発生することがよくあります。こうしたコンフリクトは、議論の停滞やプロジェクトの遅延を招くだけでなく、最悪の場合、改善の機会自体を長期間失う結果にもつながりかねません。このため、意見交換の場を設け、全員が納得できるプロセスを構築することが重要です。
例えば、設計部門から製造部門への設計データの引き渡しプロセスを見直す場合を考えてみましょう。設計部門は「柔軟性」を重視し、設計変更があった際に迅速に対応できるよう、あえて詳細なドキュメント化を避けることがあります。一方、製造部門は「再現性」と「安定性」を求め、すべての情報が明確に文書化されていることを重視します。このような異なる価値観がぶつかることで、どの程度の詳細さが必要か、どのタイミングでデータを確定すべきかといった点で意見が対立しやすくなります。
このような状況で有効なのが、第三者を交えた検討です。第三者の視点は、社内の固定観念にとらわれない客観的な意見を提供し、利害関係のバランスを取る役割を果たします。特にISO認証を目指す場合は、規格に適合するという条件も加わるため、外部の専門家が持つ知見が有効に機能することがあります。
ISOコンサルタントは、単なる専門知識の提供者にとどまらず、業務フローの課題発見と改善策の提案を通じて、組織全体の効率化を支援します。客観的な立場からのアドバイスにより、現場の視点と経営層の意図を橋渡しし、実行可能な業務改善を実現することができます。さらに、ISOコンサルタントは、改善活動を円滑に進めるためのファシリテーションや、継続的な改善活動の定着支援も行います。
業務フローの整備は、単なるルール作りではなく、組織全体の成長と効率化に寄与する重要なプロセスです。内部だけで解決が難しい場合には、外部の視点を取り入れることで、新たな気づきやスムーズな合意形成への道が開けるかもしれません。ISOコンサルタントの活用は、その一助となり得る有効な手段です。