ISO取得第一歩:始め方とギャップの見極め
ISO認証を取得しようと考えている企業の皆様、何から手を付け……
ISO9001の導入を検討する際、多くの企業が「どこまで文書を作成すればよいのか?」という疑問に直面します。文書を作りすぎると形骸化し、少なすぎると審査で指摘される可能性があります。本記事では、ISO9001の文書化の基本と、実際の事例をもとに最適なルール作りのポイントを解説します。
※ここでは、作業手順や承認ルートなどをまとめて「ルール」と表現しています。
ISO9001では、明確に「作成すべき」とされる文書がいくつかあります。
必須の文書
これらは、審査時にチェックされる項目となっているため、適切に整備する必要があります。
ISO9001では、必要な文書の範囲は企業の規模や業種によって異なります。例えば、製造業では作業手順書や検査記録が重要になりますが、サービス業では顧客対応のフローが重視されます。
例えば、規格の箇条8.5には、「製造やサービス提供を管理された状態で実行する」ことが求められています。これに対応するための文書の具体例を説明すると、製造業では工程管理表や検査基準書、サービス業では、顧客対応マニュアルなど求められます。ただし、あくまでも「製造やサービス提供を管理された状態で実行する」ために必要な文書であり、各企業が独自に用意した文書体系で構いません。
ISO9001の導入時に、「とにかく文書を作ればいい」と考えると、以下のような問題が発生します。
このような問題を防ぐためにも、適切なルール作りが重要です。
問題点:すべての業務を細かくマニュアル化した結果、現場では誰も読まなくなり、監査時に「実態と合っていない」と指摘される。
細かすぎるマニュアルの例:
改善策:必要最低限の手順書に整理し、現場の声を反映したシンプルな文書体系に変更。
簡略化の例:
問題点:文書がほとんどなく、新入社員が業務の進め方を理解できず、品質のばらつきが発生。
プアな文書の例:
改善策:業務のポイントを押さえたフローチャートを作成し、必要な部分だけ文書化。
成功のポイント:
具体的な見直しの方法:
ISO9001の文書化は「多すぎても、少なすぎてもダメ」です。自社の業務に合った適切な文書を作成し、使いやすい形で管理することが成功の鍵となります。また、ISO9001の規格要件を満たすことも重要です。適切な文書を整備することで、品質管理の一貫性が保たれ、顧客満足度の向上や業務の効率化につながります。事例を参考にしながら、まずは自社の文書を見直してみましょう!